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トレド

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トレド

メトロポリタン美術館に所蔵されている『トレド眺望』は、エル・グレコが始めて風景画として描いた作品として知られています。トレドはグレコが36歳1577年ごろからトレドに定住して、1614年に没するまで数々の傑作を残した街でもあります。トレドといえば、エル・グレコ。エル・グレコといえばトレドというように、結びついて語られることが多いぐらいです。

トレドの現在はスペイン中央部の都市で、カスティーリャ=ラ・マンチャ州の州都ですが、かつては西ゴート王国の首都でもあり、中世にはイスラム教・ユダヤ教・キリスト教の文化が交錯した地でもあります。トレドは「町全体が博物館」と言われていて、タホ川に囲まれた旧市街は世界遺産に登録されています。

『トレド眺望』の作品

1610年ごろのスペインの首都だったトレドが描かれていてます。構図は城壁外からトレドを見たもので、くもり空とトレド旧市街が一緒に描かれています。暗い雲に向けて聳え起っている尖塔はトレド大聖堂です。その尖塔に対照的な位置に描かれているのが、タホ川です。丘の上にある城塞アルカサルに守られた街を暗い重たい雲が覆っています。タホ川周辺は深緑で描かれ三分の一ほどを占める空は濃い青で描かれている独特の世界観から、古都トレドという街を陰鬱でありながらも、印象的にそして神秘的に描いています。

そして暗い雲の影に射し込む強烈な光は、深緑と濃青で表現されるこの作品の中で、とても印象的な効果を生み出しています。この『トレド眺望』を描いた時期は、エル・グレコが失意の時に描かれています。宮廷の画家になることを願っていたグレコが待望だったスペイン王室からの依頼があって描いた、エル・グレコの力作『聖マウリティウスの殉教』がフェリペ2世の不評を買ってしまい、失意の後に戻ってきた心情を『トレド眺望』の作品に投影したのでは。とも思えます。

強い強烈な光は、これからの自分の作品への評価を願っているのでしょうか。エル・グレコが活動の拠点として住んだトレドでは、『トレド眺望』を初めとして『聖衣剥奪』などの数々のエル・グレコの代表作が生まれました。作品にあるトレドの自然と水橋には、毛羽立つような強い筆跡を残されている画風ですが、この画風は印象派の作風に近く見られる画風で、20世紀の初頭に印象派の画家達や、ピカソたちによってエル・グレコの独自性が再評価されたキッカケにもなった作品です。

トレドの名所

トレド大聖堂 …
1226年にフェルナンド3世の命により建築が開始されて1493年に完成したゴシック様式のカテドラルです。聖具室にはエル・グレコの『聖衣剥奪』や『十二使徒』などの絵画が飾られています。
アルカサル…
ローマ時代に宮殿があった場所で、アルフォンソ6世やアルフォンソ10世の時代に改築されて、16世紀に今の形になりました。
エル・グレコ美術館…
エル・グレコのアトリエが再現されています。『トレドの景観と地図』などの作品が展示されています。
サント・トメ教会…
モスクを14世紀に改装したものです。エル・グレコの代表作『オルガス伯の埋葬』を所蔵しています。
トランシト教会…
14世紀に建てられたムデハル様式のシナゴーグで、現在はセファルディム博物館となっています。
サンタ・マリーア・ラ・ブランカ教会 …
トランシト教会と同様にムデハル様式のシナゴーグで、12~13世紀に建てられました。馬蹄型アーチといったイスラム建築の様式です。
サン・フアン・デ・ロス・レージェス修道院 …
15世紀末、トロの戦いの勝利を記念してカトリック両王の命で建てられました。ゴシックとムデハル様式が混合したイサベル様式の典型です。
エル・クリスト・デ・ラ・ルス(Cristo de la Luz) …
1000年ごろに建てられたモスク「ビーブ・マルドン」がキリスト教の「光のキリスト聖堂」に転用されたもの。
サンタ・クルス美術館…
元はイサベル1世が完成させた慈善施設です。エル・グレコの『聖母被昇天』などが展示されています。
タベーラ病院…
内部には教会や美術館があります。エル・グレコの作品がいくつも展示されています。この名称は建設を命じた枢機卿のち大司教にちなんで付けられました。
プエルタ・デル・ソル(太陽の門)…
13世紀のムデハル建築です。
ローマ劇場跡…
壁外にあり現在は公園です。ローマ帝国の中でも最大級と紹介されています。

 
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